太陽光発電所の運営には、実は「電気代」がかかります。パワーコンディショナや監視装置などを動かすための電力が必要で、契約プランによっては毎月2〜3千円、年間では3万円前後になることもあります。
しかし、電気料金プランを見直すことで、この固定費を大幅に削減できるケースがあります。この記事では、電気代が発生する仕組みと、従量電灯への切り替えによって得られる効果について分かりやすく解説します。
発電所に「電気代」が発生する理由
太陽光発電設備のパワーコンディショナ(パワコン)は、パネルで発電した電気を生活で使える電気へと変換する装置です。売電をするための設備ですが、電気製品ですので稼働するためには電気料金がかかります。さらに、遠隔監視や監視カメラ等の機器を導入している場合、それらの電気代もかかります。
出力制御や保険料の値上げなど、収益を圧迫する要因が増える中で、電気料金の最適化は見過ごせない課題になっています。発電所ごとの電力使用量を正確に把握し、適した料金プランを選ぶことが、固定費削減の第一歩です。

定額電灯と従量電灯の違い
「定額電灯」は、使用する機器や電力が一定であることを前提に、電力量を計測せずに毎月定額を支払うプランです。契約容量には上限があり、一般的には400VA以下が目安とされています。パワコン1台につき基本料金が設定されるため、パワコンの台数が多いほど基本料金も増加します。これに「燃料費調整額」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が加算され、毎月の電気代が決まります。
一方の「従量電灯」は、実際に使用した電力量(kWh)に応じて電気料金が決まるプランです。電力会社が毎月の使用量を検針し、その分だけ支払う仕組みとなっています。
太陽光発電所のパワコンなどが消費する電力は比較的わずかで、季節や日によって大きく変動することはありません。そのため、使用量が少ない発電所の場合、基本料金の安い従量電灯へ切り替えることで電気代を大幅に削減できる可能性があります。
切り替えの条件
従量電灯に切り替えるには、いくつかの条件があります。まず、発電所内に400VA以上の電気製品があることが必要です。パワコンの待機電力だけでは条件を満たさないため、一般的には「コンセントの設置」が求められます。これは、パワコン以外の用途でも電気を使用していることを示すための要件です。
また、パワコンの種類にも注意が必要です。単相パワコンを設置している場合は切り替えが可能ですが、三相パワコンの場合は従量電灯への変更ができません。三相パワコンは「動力」として扱われ、契約区分が「低圧電力」となるためです。
つまり、単相パワコン+コンセント設置が、従量電灯への切り替え条件となります。

切り替えた場合の試算イメージ
実際に従量電灯へ切り替えた発電事業者様の例をもとに、電気代の違いを見てみましょう。
〈設備状況〉
単相パワコン9台/遠隔監視なし
〈定額電灯の場合〉
基本料金:4,050円(※1)+燃料費調整額+再エネ賦課金
→ 毎月のお支払い:約4,000円程度(燃料費調整額などにより変動)
※1:東京電力 定額電灯(50VA以下) 基本料金450円84銭 × 9台
〈従量電灯の場合〉
パワコン消費電力:運転時(発電中)0W/待機時(夜間等)1W未満
→ 電力量 0.72kWh(※2) × 30.00円(※3)= 約21.6円
※2:電力量(kWh)= 消費電力(W) × 使用時間(h) ÷ 1000
※3:東京電力 従量電灯 基本単価 30円/kWh
結果、月額300〜400円程度にまで抑えられるケースもあります。
まずは、発電所で使用している機器の電力消費量を把握することから始めましょう。数千円でも、年間・複数拠点で積み重なると大きな違いになります。ポートフォリオ全体の固定費削減策としても有効です。
切り替えのチェックリストと手続き
従量電灯への切り替えを検討する際は、まず次の点を確認しましょう。
①コンセントが設置されているか?
定額電灯は「不特定の負荷(コンセント等)」が存在しない前提で契約されている場合が多いですが、例外的にコンセントが設置されている発電所もあります。まずは現地の設備状況を確認してください。
②単相パワコンを設置しているか?
三相パワコンは料金体系が異なり、従量電灯への切り替え対象外です。条件を満たしている場合、以下の書類・情報を用意し、電力会社に申請します。
申請・手続きに必要となる代表的な情報
- 受電地点特定番号/お客さま番号、発電所住所
- 連系している電柱番号、および電柱とコンセント位置の概略図
- 単線結線図、現場写真(分電盤・メーター・既設機器など)
コンセントが設置されていない場合は、新設が可能です。電気工事業者へ依頼し、設置後にプラン変更申請を行います。
なお、新たな機器を導入する場合は、その電力消費量も事前に確認しておきましょう。「使った分だけ支払う」従量制では、機器の追加によって電気代が増加する可能性があるためです。

LC-JAPANの代行サポート
当社では、従量電灯への切り替えに関する調査から申請代行、コンセントの新設などの追加工事まで、ワンストップで対応しています。
発電所の規模や監視方式、今後の設備更新計画などを踏まえ、定額のままが適切か、従量への変更が有利かを中立的に試算。最短ルートでスムーズに手続きを進めます。
まとめ
電気代は、発電所の収益を静かに削る固定費のひとつです。発電量や売電単価を変えるのは難しくても、「契約の見直し」によって支出の最適化は実現できます。
固定費を下げることで、事業全体の収益性を一段引き上げることが可能です。電気料金の見直しを検討している発電事業者様は、ぜひ再エネひろば窓口までお気軽にご相談ください。


